ブラッシュアップ講座「断捨離®日常あるある哲学塾」最終回

今朝、日の出の直前、陽は雲に覆われた。
でも、空を照らしている。

空の青さがすてきだ。

やましたひでこ公認
　　　断捨離®トップトレーナー檀葉子です。

前期のブラッシュアップ講座
「断捨離®日常あるある哲学塾」５回
が終わりました。

哲学とは、いっぱいの「？」を持つこと。
考えるということですね。

みなさん、もやもやしながら、
ちゃんと考えてくださいました。
お疲れ様でした。

今回の資料は、やましたひでこ

「ありのまま」という損失
2014/7/18(金)

刈り込んだ芝生は「ありのままでいい」と言えるけれど、
雑草茂る芝生には言えない。
「ありのまま」とは、とても心地よく響く言葉なのだろう。
その証拠に、アニメ映画の主題歌「ありのままに」が大ヒットとなっているのだから。
まったく言葉というのは面白い。

私たちは、ある一つの言葉を掴むことによって拠り所ができて安堵したりもするし、また、その言葉にすべてを帰結させてしまい、それ以上の思考を放棄してしまうことがある。

「ありのまま」とはまさにそんな言葉の代表格。

たとえば、「あなたは、ありのままでいい。」というアドバイス的な励ましを受けて、「そうか、私は、ありのままでいいんだ」とほっとしたとする。
この場合の「ありのまま」とは、自分自身がどのような状態を「ありのまま」と感じ、理解しているかは甚だ心許ない。
正直に言えば、私にとって、この「ありのまま」ほど厄介な言葉はなく。
もしも、「ありのままでいいですよ」とアドバイスを受けたとしたら、私の「ありのまま」とは、いったいどのような状態を指すのだろうかと、かえってあれこれと思いを巡らせなければならなくなる。
なぜなら、沢山の要素が絡み合っている今の自分を振り返ってみれば、どれがありのままの自分であり、どれがありのままの自分でないのかを紐解いていくのは容易な作業でないと思ってしまうから。
私たちは、相手に、何をもって「ありのまま」と投げかけるのか。
私たちは、自分の、何をもって「ありのまま」と受け止めるのか。
そこへの思考がないままの、ただの言葉のキャッチボールだとしたら、それはなんとも浅薄なやり取りとしか言いようがない。

そしてまた、「ありのまま」の使い方にはこんな危うさも孕む。もしも、「ありのまま」のメッセージを受け取る側の自己肯定感が低かった場合、こんな反応になることは容易に想像がつく。

今の自分が好きではないからなんとかしようと思い悩んでいるのに、自分に「そのまんま」でいろと言うのかと。
もしも、承認欲求ばかり過剰に働いている場合、「そのまんま」を選択しながら、結局はなんの努力をせず、今の自分は理解されないと不満を増幅させることもあるだろう。

そうだ、蔓延る雑草を「ありのままでいい」とは言えない。
けれど、刈り込み過ぎた芝生には「ありのままでいい」とは言える。
そうですね、私たちは、どこまでも他者に認めてもらいたいと思う存在。